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元横綱初代若乃花

戦後、復興から高度成長へと走り始めたころ、
数少ない娯楽の中で大人から子どもまで熱中したのは、
プロ野球と大相撲ではなかったか。
右肩上がりの時代を突き進む人々にとって、
ひいきのチームや力士の活躍は明日への活力であり、
希望の光だったように思う。

幼少の身には、すぐ勝負がつく大相撲の方が分かりやすく
なじみやすかった。
人気力士のメンコで時間の経つのも忘れて遊んだ。
当時は小学生の低学年から中学年、栃若時代の
真っただ中だった。

その後の柏鵬時代ほど記憶は鮮明ではないが、
”マムシ”と異名をとった、しぶとい栃錦と、”土俵の鬼”
若乃花が抜きんでて強かったことは覚えている。

若乃花は最高でも110キロ足らずの軽量だったが、
投げられて背中が土にまみれたことは聞いたことがなかった。
足が土に吸い付いている。俵に足が掛かれば、
根が生えたようにもう動かない。目が肥えたフアンや関係者は、
それを「かかとに目がある」と言った。
若乃花の強さを象徴する言葉だろう。

その元横綱初代若乃花の花田勝治さんが亡くなった。
82歳だった。港湾労働で一家を支え、角界入り後、
並外れた猛げいこに明け暮れた元横綱は引退後も、
厳しい指導で花形力士を育てた。
賭博にうつつをぬかした力士たちは”土俵の鬼”との別れに、
心からの反省と再出発を誓って国民を喜ばしてほしい。

(M.N)


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