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宮大工

「最後の宮大工棟梁]と言われた西岡常一(つねかず)さんが
亡くなられて、15年になる。その本を読み返していて
「おやっ」と思うくだりがあった。

宮大工の家に生まれ、法隆寺や薬師寺の
修理、復興を手がけた名匠である。若手への指導は
さぞ厳しいだろうと思ったら、意外にそうではない。
問題があっても人前では絶対に怒ってはならないと
戒める。(「宮大工三代」徳間書店)。

ではどうするか。西岡さんは自ら鉢巻を締め、汗を流して手本を示す。
「こういうふうにやってみい」というわけだ。
「なんぼ上手に文句言うてもあきません。自分からしてみせな」。
鉄材などを頑として拒む一徹な棟梁の、これが若手育成法である。

そういえば、「やってみせ,言ってきかせてさせてみて、ほめてやらねば
人は動かじ」という言葉がある。
旧海軍の山本五十六元帥が語ったと伝えられるが、真偽はわからない。
同じ新潟県出身で、名を成した経済人の遺訓との意見もあるが。

誰が言ったかは別にして、原典は旧米沢藩主上杉鷹山(ようざん)の
座右の銘かもしれないともいわれる。藩政改革で有名な鷹山は
「してみせて、言ってきかせて、させてみる」と言った。
押しつけではなく、目上の者が手本を見せ、意義を説き実践させる。
それが組織を動かす基本だと論じている。
政治家には名棟梁や名君の教えが重くのしかかる。

(M.N)


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