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ボーダーレス

英語と日本語の違いはいろいろありますが
象徴的なのは結論の置きどころだろう。
英語は先に、日本語は後に、いいたいことの根幹がある。

「あなたは優しいから好き」は日本語。
英語なら「あなたが好き。優しいから」と単語が並ぶ。
こうした違いは、考え方や文化の差異を反映する。
結論の先送りは、奥ゆかしさの裏返し。
相手の反応をうかがうのは、美徳にも通じる。

「つまらないものですが」と品物を差し出された外国人は
「そんなものを、なぜ私に寄こすのか」と思うに違いない。
欧米流は物を贈る際、それを手に入れるのにどれほど苦労したか
それがどんなに素晴らしいものかを力説するそうだ。

以前、子供さんの関係でカナダの女子中学生を
自宅に受け入れたときのこと、「狭い家だけど・・・」と言ったら
「私の家は広い」と返されて苦笑した覚えがある、との話を
聞いたことがある。ボーダーレスの時代、控えめは損だと承知した。

朝青龍の横綱引退は、各界の内外に大きな余波を及ぼしている。
朝青龍によって体現された「強さ」と「品格」のせめぎ合いは
日本の針路を問うようでもある。
善かれあしかれボーダーレスの一断面と思う。
国際社会にはどう映るのだろうか。
いずれ「品格」なくして「強さ」は通じまい。

(M.N)


 

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