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人の情け

土曜の深夜、NHKのテレビで歌手のさだまさしさんが
軽妙に語っている。
ラジオのようなシンプルなつくりの番組だ。

視聴者からのハガキが楽しい。
多くは笑いを誘う内容だが、時々ほろっとさせられたりもする。
先週運動会の借り物競争の話が紹介された。
「一番大事なもの」と書かれた紙を手にした小学生が
観客席から自分のおばあちゃんの手を引いて駆けたそうだ。

こんな話を聞いて、涙ぐんでしまった。
桂米朝さんに文化勲章が贈られた。きょうが親授式である。
上方落語の一番星のような存在だ。
東の一番星、三遊亭円楽さんは先日、惜しくも亡くなった。
ともに演じた噺に「百年目」がある。

裏でしっかり遊んでいる番頭さんが
桜の宴席でだんなさんに出くわす。
翌朝、首を覚悟の番頭さんが耳にしたのは
長年の感謝の言葉だった。
人情噺の魅力が詰まる噺だ。

人の情けにふれ、老いの境地にふれる。
そんな「文化の日」である。

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