- 2009年10月27日 11:08
- M.N氏の岡目八目
チンパンジーは見返りがなくても
仲間の手助けをするという。
京都大学の霊長類研究所などが行った研究成果が
テレビで紹介された。
ブースにチンパンジーを一匹ずつ入れ
片方のブース前にジュース、もう一方の前に杖を置く。
ジュースが飲みたいチンパンジーは
隣の仲間に杖を取ってくれるよう盛んに促した。
仲間は「仕方がないなあ」といった様子で杖を取り
窓越しに手渡した。その杖でジュースを手繰り寄せ
美味そうに飲み干すという映像だ。
協力への返礼がないだけで、我々の日常と変わらぬ光景である。
ペアを変えても大方が同様に動いたそうだから
見返りなしの「利他行動」は半ば常識化しているのだろう。
一見気ままな暮らしに見えながら
実は我々の想像以上に繊細な社会性を
身につけているのかもしれない。
厳しい環境を生き抜くには利己を抑制しないと群れは持たない。
共同体が重層化した人間社会ならなおさらである。
彼らの何気ない仕草からあらためて
無償の援助の尊さを教えられた。
ただ彼らの行動のほとんどは相手の求めに応じたもので、
自発的な援助は人間社会特有のものだとか。
なるほど気を利かして杖を差し出すチンパンジーがいたら気色悪い。
自然界では求めに応じた手助けが無駄なく効果的で
過ぎたるはお節介に映るようだ。
95兆円に膨らんだ来年度当初予算概算要求は
国民の求めと与党の思いが混在し、その評価は何とも微妙である。
(M.N)