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携帯電話

講演会や演奏会、多くの人たちが集まるような会合の席上、
開会に先立ち主催者が来場者に向かってまず言うのは
「携帯電話は、電源を切るかマナモードにしてください」。
すっかり決まり文句になった。

言われて気がついた、と思われるのもしゃくに障るが、
万一、ということもあるので常時「マナー」を守っているはずの
ポケットの中に携帯電話の様子をチラリとのぞいてみる。
会場内で慌ててバッグを広げて確かめる
という人の姿は少なくなったように思う。

携帯電話を持ち始めた10年ほど前は
会議中に携帯電話が鳴ろうものなら、周囲から
「どこのどいつだ」というぐらいの視線が浴びせられた。
今でも個性的な曲が着信を告げることもあるが
流れる曲の題名を気にしても電話がかかってきたことを
非難する目ではなくなった。
気にするそぶりも見せない。

この10年で生活に溶け込んだ。
同じく21世紀になって生活に入り込んでいるのがパソコン。
高齢者の人たちも「手習いに」と、便利な
電子道具の習得に励んでいる。
今では公的な文書の書式はパソコンを使えば
役所に出向かなくても居ながらに手に入れられる。

役所で資料を請求したら
「その資料はパソコンで見られます。そちらで見てください」
と言われたことがある。
同じようなことを、知人が役所窓口で言われたと憤慨していた。
「だれもパソコンができるとは限らないんだ」と。
高齢者も、電子道具の勉強しなくてはいけない時代だ。

(M.N)

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