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歴史的建造物

  • 2009年2月27日 09:28

ある建物が取り壊されて、数週間もすると
「この土地に何があったのか」と、ふと思うことがある。
日ごろ目にしていたのに、なぜか思い出せない。
一方で、その場所を通るたびに「壊さないで欲しかった」と
もの寂しさを覚える場合もある。

東京・霞ヶ関近辺で威容を誇った飯野ビルが姿を消した。
イイノホールを含む10階建て規模の石造りの建物が
大通り沿いに100メートルも延びていただけに
強烈な印象を与えていた。国会近くの官庁街に面し
戦後復興や高度成長期の民間パワーの象徴でもあった。

歴史を刻んだ趣のあるシンボルとはいえ
保存は難しかったのだろう。
東京駅前の重厚な丸ビルが生まれ変わったように
新時代にふさわしい現代建築が姿を現すのも
いたしかたないのだろう。

飯野ビルの近くには、大和生命があった。
年配の方達がその建物の前で、長い時間立ったまま                             懐かしそうに、語り合っていた姿を思い出す。
壮麗な洋風建築がまぶしく華やいだ舞台を演じた
鹿鳴館(ろくめいかん)があった場所だけに
衝撃も大きかったのだろう。

建物の存廃は街の盛衰と重なる。
歴史的建造物保存は観光客を誘い
住む人の心を豊かにする。
新改築するにも魅力的に仕上げて
人々が、思いを重ねる建物であってほしい。

(M.N)

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