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ノーベル賞受賞

暗い話題が続く中
今年のノーベル賞授賞式は年末の明るいニュースだった。
物理学賞の南部陽一郎さんは
奥方の体調を気遣って欠席となったが
益川敏英さん、小林誠さん、化学賞の下村修さんが
日本語による想定外の祝福も受けられた。

「資産を確実なる有価証券に換え、それをもって基金を設定し
前年度において人類に最も大いなる貢献をなしたる人に
賞金を分配すること」。1896年12月10日、63歳で亡くなった
アルフレッド・ノーベルの遺言書である。

土木工事や鉱業に威力を発揮する
ダイナマイトを発明したノーベルは巨万の富を得た。
ヨーロッパ屈指の富豪となったが、この文明の利器が
人類の生存を脅(おど)かす凶器にもなることに悩み続けた。
生涯独身だったというノーベルは手にした財産を
人類の幸福のために使いたいと考えた。

ノーベルの遺志によって莫大な遺産が生まれ故郷の
スウェーデン王位科学アカデミーに寄付され定款が決まったのは
ノーベルが亡くなって4年後、1900年12月31日。
第1回授賞式は翌1901年で、20世紀の到来とともに
ノーベル賞授与が始まったのである。

108年に及ぶノーベル賞の歴史の中で日本人が4人も受賞し
3人が壇上に並び日本語で称えられたのは初めてのことだ。
物理学賞の3人は湯川秀樹博士(1949受賞)以来の
素粒子論の伝統を引き継ぎ、発展させた。
下村さんはクラゲから緑色蛍光タンパク質を発見。
それが生物現象を可視化する道具として
世界中の基礎医学・生物学実験で活用されている。

年齢も研究の場所も異なるが
4人とも戦後の日本で研究者として歩み始め
そしてたどり着いた”世界最高の栄誉”。
紛れもなく人類の幸福に貢献する大いなる業績であった。

(M.N)

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