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残念・無念

亡くなった父が大相撲の大ファンだった。
場所がないときの寂しそうな顔が今も思い浮かぶ。
生きていれば、角界の現状に同様の表情を見せていただろう。

熱心なファンとはいえないが、正直なところ大相撲に
以前ほどワクワク感を抱けない。
外国人力士が番付上位を占めることもあるが
相次ぐ土俵外の不祥事が心を冷めさせているのかもしれない。

日本相撲協会の対応もいつも歯切れが悪く
不祥事のたびに北の湖前理事長の硬い表情だけが発信された。
今回の辞任は、自身の部屋の力士が起こした問題への引責も
あっただろうが選択肢はもう残されていなかった。

「コンピューター付きブルドーザー」と言えば田中角栄元首相を
思い浮かべるが、北の湖の現役時代はそう呼ばれたという。
不沈艦のような強さを誇る横綱だった。
昇進するたびに史上最年少記録を更新し
当時史上最多となる通算951勝を挙げた。
勝ち名乗りの時のふてぶてしく見える態度が
余計に強さを引き立たせた。

堂々たる巨体とまじめな性格がその地位を築いたが
それだけでは10年以上もの間、トップに君臨することはできない。
記憶力も抜群だった。
それがコンピューター付きブルドーザーたるゆえんで
10年前の取り口をスラスラと言ってのけるほどだったそうだ。

最強をを誇るうちは、連敗も人間くさいと好意的に受け止められるが
あまりに負けがこんでくると引退以外の選択肢がなくなるのが
横綱であり、組織のトップである。

それにしても24回の優勝を誇る名横綱でも
有能なトップであるとは限らない。
豊富な現場経験に加え、マネジメント能力、メッセージを発信する力。
いづれもトップには欠かせない資質だ。
偉大な横綱だっただけに残念だ。

精巧さが売りのコンピューターも
「エラー」が続けば買い替え時だと判断されたのか。
日本の歴史と伝統を代表する文化である大相撲であるだけに
無念に思う。

(M.N)

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