- 2008年5月28日 12:59
- M.N氏の岡目八目
ブルガリア出身の大関琴欧州が夏場所を制した。
欧州勢としては初めてのことである。
大相撲の歴史に一ページを加えた。
二メートルを越す長身を生かした取り口で
たちまち大関まで駆け上がった。
だが、その後は不振が目立ち、今場所はかど番だった。
それが一転して、相撲に開眼したかのような土俵が続いた。
「やっと優勝ができました。これからもっと努力します」
父親が見守る中、ブルガリア語で喜びの弁を語る琴欧州。
そのさわやかな笑顔が印象的だった。
ブルガリア出身の二十五歳。欧州勢の初の優勝である。
特にここ二年余はモンゴル勢が独占し
琴欧州がその独走を食い止めた。
ファンも待ちかねていた一瞬だった。
琴欧州の優勝は柔道で世界チャンピオンとなったヘーシンク選手
(オランダ)を思い起こさせる。厳しい稽古の日々。
独特の伝統やしきたりが色濃く残る相撲界で大成するのは難しい。
かってハワイ勢が活躍したころは、「黒船来航」と騒がれ
モンゴル勢が土俵を沸かすと「蒙古襲来」との言葉が紙面に躍った。
そして今場所は「モンゴル帝国の欧州侵攻を止めた」とする
スポーツ紙もみられた。角界の多極化もまた楽しみだ。
モンゴル相撲の伝統を背負う朝青龍と白鵬。
これにレスリングから転向してきた琴欧州が割って入った。
そんなところにも、今の大相撲の多様な姿がうかがえる。
国際化の波は加速する一方だが
やはり日本人が優勝に絡まない場所は寂しさが残る。
(M.N)
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