昨日、地元の信用金庫の観劇会で歌舞伎座に行って来ました。
昼の部は3本立てで私が感銘を受けたのは3番目の「刺青奇遇」。
これは「一本刀土俵入」などを著した長谷川伸の原作で
人情の機微を描いた昭和の新歌舞伎の名作と言われているそうです。
これを当代の2大スターの玉三郎と勘三郎が共演
夫婦の情愛をたいへん巧みに表現した熱演で
私は不覚にもハンカチを濡らしてしまいました。
こう書くと、私が歌舞伎通のように聞こえるかもしれませんが
実は、初めて歌舞伎座に行ったのはほんの5,6年前なのです。
子供の頃から音楽といえば洋楽一辺倒でしたが
年とともに端唄、長唄、謡いなどの邦楽にも
だんだん興味を持ちはじめていました。
それでも不思議と歌舞伎座へ行く機会は
その時までありませんでした。
歌舞伎を見るなら東銀座の歌舞伎座。
歌舞伎座は明治22年に開場
大正14年には今のものの原型となる
桃山様式風の鉄筋コンクリート造の建物が完成しましたが
昭和20年には空襲で大屋根が落ち、内部が焼失しました。
その後昭和26年に現在の形に復興され
数多くの名舞台を送り出した歌舞伎座は
昭和63年には開場100年を迎えました。
しかし数年前、松竹は歌舞伎座の再開発を計画し
劇場は新しい高層ビルの下に入る、ということを聞いたとき
世界に誇れる日本の伝統文化の殿堂とも呼ぶべき建物を
どうして壊さなければならないのか、と思いましたが
幸い何かの理由で計画は現在中断しているようです。
ガラス張りのビルに入って歌舞伎を鑑賞することは
想像するだけでも興ざめだと私は思うのですが・・・
(社長)
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